緋の秘密

2/17
前へ
/64ページ
次へ
「あぁ、山崎さんがいらっしゃるんですね。」 「山崎の事まで知ってやがる…本物だな。」 目を細めて言う土方に、認めてもらえたみたいで嬉しかった。 あたしは、これからこの情報を武器にここで生きていく。 歴史を変える事になるけれど、それはそれでいいと思う。 人それぞれ考え方はあるけれど、あたしは様々な次元は平行世界にあると考えている。 それならばまた、ここで一から歴史を作り上げてもいいはずだ。 もし、平行世界でなくあたしがいた世界の幕末時代だとしたら… あたしが未来を教えても、どんなに抗っても… 未来は変わらないだろう…。 ストッ―― 考え事をしていると忍装束を身にまとった細身の男が降りてきた。 「山崎君が物音をたてるなんて珍しいね。」 沖田さんが嬉しそうに言った。 「相変わらず厭味なやっちゃな。ちょっと久しぶりに動揺してもうたんや;」 山崎の言葉に土方は眉を寄せた。 「どうした?」 土方の前に先ほどの朱音みたいに方膝をついた。 「勝手に姿を現して申し訳ありませんでした。この者に、聞きたい事がございます。」 山崎の深刻さに辺りは静まった。 「あたしに?」 当の本人はきょとんとしている。 山崎は朱音に向き直ると一つ息をついた。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

381人が本棚に入れています
本棚に追加