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「あぁ、山崎さんがいらっしゃるんですね。」
「山崎の事まで知ってやがる…本物だな。」
目を細めて言う土方に、認めてもらえたみたいで嬉しかった。
あたしは、これからこの情報を武器にここで生きていく。
歴史を変える事になるけれど、それはそれでいいと思う。
人それぞれ考え方はあるけれど、あたしは様々な次元は平行世界にあると考えている。
それならばまた、ここで一から歴史を作り上げてもいいはずだ。
もし、平行世界でなくあたしがいた世界の幕末時代だとしたら…
あたしが未来を教えても、どんなに抗っても…
未来は変わらないだろう…。
ストッ――
考え事をしていると忍装束を身にまとった細身の男が降りてきた。
「山崎君が物音をたてるなんて珍しいね。」
沖田さんが嬉しそうに言った。
「相変わらず厭味なやっちゃな。ちょっと久しぶりに動揺してもうたんや;」
山崎の言葉に土方は眉を寄せた。
「どうした?」
土方の前に先ほどの朱音みたいに方膝をついた。
「勝手に姿を現して申し訳ありませんでした。この者に、聞きたい事がございます。」
山崎の深刻さに辺りは静まった。
「あたしに?」
当の本人はきょとんとしている。
山崎は朱音に向き直ると一つ息をついた。
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