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「…緋村という姓は、本当の姓か?」
先ほどの朱音と重なる。
――近藤…勇というお名前は、本当のお名前ですか?――
疑われているんじゃない。
確認しているんだ。
何故、この姓に反応するのかわからなかったが朱音は正直に答える。
「はい。そうですけど…」
その言葉に山崎は目を開いた。
「人と違う、何かを持ってないか?」
その言葉に朱音は困惑した。
「違うもの?そりゃこの服やあたしの鞄があればその中に皆にとって珍しい物が入ってるけど…」
皆も山崎の言いたい事がわからず傍観している。
答えにならなかったのか山崎はまた質問をした。
「家族…家族は生きているのか?」
その言葉に今度は朱音の目が大きく開いた。
静寂が身に刺さるようだ。
「…家族は、いません。…殺されました。」
ようやく開いた口から出た言葉に皆は顔を顰めた。
「…そう、か。辛い事を聞いてすまなかった。」
いえ…
そう言おうとして、山崎をみると手に何か持っているのが見えた。
「先に謝っておく。おまえに敵意はない。…が確認したい。」
意味がわからず問いかけようとした時、顔の横を何かが通り抜けた。
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