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「山崎君!!」
誰かが怒鳴る声が聞こえたがそれよりも頬が気になる。
焼けるように熱くなり、手を伸ばしてみると血がついていた。
「あ…あ、赤…紅い……っ」
その瞬間、いつも死線を潜り抜けてきている皆でさえ感じた事のない殺気を感じて、山崎へ向けていた視線を朱音へ向ける。
ぞくぅ――
そこには禍々しい空気を漂わせ、逆立っているのか僅かに浮いてみえる綺麗な漆黒の髪ごと頭を抱えしゃがみこんでいる朱音がいた。
「お、おい朱音?」
新八のその言葉に顔を上げた朱音を見て皆息を飲んだ。
瞳が、紅い―――
「い、いやああああぁぁぁぁぁあ!!!!!あ…紅…朱が!あああああああぁああああぁあぁ!!!!!!!」
錯乱しているのか涙を流しながら暴れる朱音。
その細い身体を震わせて…。
「おい、落ち着け!しっかりしろって!!」
平助が話しかけるがこの殺気。
迂闊に近づけない。
皆に冷たい汗が流れる。
「いや!やあああぁぁぁぁぁ!!紅い、…あ、赤が…っ!」
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