緋の秘密

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男の人の首を刎ねた真っ黒の人は今度はあたしに向き直る。 ゆっくりと近づいてくる。 この、あたしは誰なんだろう。 これは誰の記憶? 胸が焼け付くような憎悪と惜恨が伝わってくる。 あぁ、この人は仇をうつきだ。 自分が死んででも… あたしは? あたしはどうした? あの家のお父さんとお母さん、妹まで殺されて、あたしはどうしたんだろう? なんで生きてるの? 「~!!早く逃げなさい!!」 はっと前を見ると女の人が前に立ちはだかっていた。 こっちに背を向けて… 「母上…でも、」 今度は母上。 勝手に動く口はあたしを無視してどんどん話を進めていく。 「母上は「約束を覚えているわね?」 その言葉にこの身体はハッと反応した。 「果たす時がきたのよ。それが、運命(さだめ)」 ぎゅっと拳を握った。 「行きなさい!!」 それが合図かの様に身体は勝手に走り出した。 背後からはキンキンと刃物がぶつかり合う独特の音がした。 が、 ――ザシュッ 肉を裂く音が聞こえ… 「あぁあああぁあ゙!!!!」 痛みに苦しむ叫び声が聞こえ… ――ブシャァァ 血が噴出す音が聞こえた…
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