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『寒くないか?』
『大丈夫……』
暖炉の周りで二人して寄り添うように暖まっている男女。外はやはりと言うか雪が降り頻り、遠くの方が全く見えない状況にある。
『アシュロン……』
ずっと鬱ぎ込むようにしていた女性が少し顔をあげ、隣にいる男性へと声をかける。が、返事がない。
『アシュロン?』
一瞬にして顔が青ざめ、確かめるように顔を覗き込む。すると、微かな寝息が聞こえた。
『寝てるだけ……ふふ』
微笑みを漏らすと、頬を指でつつく。
『ッ!』
その後、女性は何かを察したように顔を扉の方へ向ける。
『今度は……私が守る』
そう言って何かを決心したような表情で扉へと進み、一気に扉を開いた。
†
(また、あの夢か……なんかこの頃は夢を見るたびに話が進んでる気がするな)
「…………きろ……………ろ!」
(うるさいな。誰か呼んでいるのか?)
「起きろっツってんだろ!」
「ぐはあ!」
ディアスの腹に形容し難い痛みが広がる。
「うっし、やっと起きたか。行くぞディアス」
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