宵闇

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なぜ妾はー… 「この世に生を受けたのだー…?」 少女は欄干から食い入るように月を見上げ呟く。 「紅凜様、お身体に障ります。」 「ああ…」 紅凜と呼ばれた少女は興味無さそうに返事をするだけだ。 「あのー…」 「なぁ、愁花」 遮るように口を開く。 「なぜ、人はこの世に生を受けるのだろうな?」 先ほどひとりごちた言葉を繰り返す。 「なぜ、ですか…。」 「妾はわからん。」 きっぱりとした声とは裏腹に、どこか困惑が伺える顔。 「人はなぜ、生きるのか。なぜ必死に足掻き、人を傷つけまで我が身を可愛がるのか、妾にわからぬ。」 月を見上げたままだった瞳がゆっくりと伏せらる。 _
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