第二章:in 八雲家

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ドチャ 「うきゅ~」 鈍い音を発てて地面に落ちた 蜘蛛を背負っていたため、かなりの重量が那由多に掛かり、声を洩らしてしまった 「ここは?」 今だ起きる気配の無い蜘蛛を隣に寝かせ、那由多は辺りを見回す そこは中庭だと言うことは分かった それも純和風の物だ 「ここは私の家よ」 那由多の前にスキマが生じ、紫が出てきた 「気に入って貰えたかしら?」 「・・・僕をどうするつもりなの?」 見た限り紫には敵意が無いが、警戒するに越したことはないと考え、那由多は少し低い声色で話し掛けた 「んー。取り敢えずはそこの女郎蜘蛛の手当てでもしようかしら?藍ー!!」 「はっはい!直ぐに参ります!!」 家の奥から返事があり、狐の尻尾を九本生やした金髪の女性が慌ただしく出てきた 「御呼びですか?」 「そこで寝ている女郎蜘蛛の手当てをして上げてちょうだい」 「承知しました」 藍が胸の前に両袖を合わして那由多に近づいて来る 「子供、お前の名前は?」 「・・・土宮 那由多」 「そうか。私は八雲 藍だ」 「ついでに、私は八雲 紫よ~ん」 ふざけ半分で邪魔をして来た紫だが、藍が睨むと家の中に入っていった 「・・・同じ名字」 「ん?あぁ、私は紫様の式神なんだ。それよりも、そこをちょっと退いてくれないか?傷の手当てをしたいんだ」 「・・・」 藍がいい人だと言う事は那由多にも分かる だが、本当に信じて良いのか分からず悩んでしまう そんな那由多を見て、藍は頭を撫でた 「信じきれない事は分かる。だから私が変な事をすれば殺しても構わない」 そう言った後、藍は笑った その表情が母の面影と重なり、那由多は藍を信じる事にした 「・・・約束だからね」 「ん、済まないな」 横にずれた那由多に礼を言い、藍は蜘蛛の手当てに掛かる 「蜘蛛さん、死なない?」 「暫くは目を醒まさないが、命に別状は無い」 「良かった」 「那由多、運ぶのを手伝ってくれないか?」 「分かった」 那由多は藍と共に蜘蛛を家の中に運び、布団に寝かせた 「女郎蜘蛛の事が心配だろうが、済まないが付いて来てくれ」 「・・・うん」 蜘蛛の事がとても心配だったが、藍の背中を追い、那由多は部屋を出た 少年九尾移動中・・・ 「ここだ。入ってくれ」 藍が襖を開け、那由多を促した どうやら居間のようだ
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