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「来たわね。こっちにいらっしゃい」
居間の中には紫が座り、自分の隣を叩いていた
「あら、以外に素直なのね」
紫と藍は蜘蛛の事を助けてくれた。それは那由多の信頼を得るには充分の行為だ
「その・・・」
「何?」
那由多が何かを言うのに恥ずかしがっているのを見て、紫は微笑みながら聞いた
「さっきは失礼な態度をとって御免なさい」
「ふふ、そんなことは気にしなくても良いわよ」
「本当?」
「勿論よ。藍も気にして無いでしょ?」
「はい」
紫と藍の許しを得て、那由多は何処と無く嬉しそうだ
「あっ、そうそう」
紫が何かを思い出したようにスキマに手を入れて何かを取り出す
「落とし物よ」
「あ・・・」
それは那由多の大切な両親の形見だった
「良かった」
「ねぇ、那由多」
形見に傷が付いていないか調べていると、紫が真剣な表情で話し掛けてきた
「貴方のそれはどう見ても刀よね?」
紫は袋から出ている父の形見、人喰らいを指差す
「え、うん。そうだよ」
「かなり使い込まれている筈なのに、血の臭いが全くしないのは何故?」
「・・・」
その質問に対して那由多は目を逸らしてしまった
「黙っていないで話してちょうだい」
那由多は紫に両頬を手で挟まれ、視線を無理矢理戻された
「・・・話すよ」
「お利口ね」
両頬から手を離した紫は、那由多の頭を撫でた
「・・・霊夢さんには少し話したんだけど、人喰らいは妖刀なんだ。こっちの妖喰らいもそうだよ」
那由多はそう言いながら、もう一つの父の形見が入った袋から、柄と鞘が紫色の刀を取り出す
「人喰らいは霊力、妖喰らいは妖力を食べるんだ」
「食べる?」
「うん。吸収するって言った方が分かりやすいかな?」
「ふーん。それで血の臭いがしないのは?」
「ん~、何て言えば良いのかな?」
少し悩んだ後、那由多は何を思い立ったのか、人喰らいを抜き放つ
「見ててね」
那由多は笑顔でそう言い、自分の胸に人食らいを刺した
「那由多!」
今まで黙って藍がそれを見て、慌てて那由多に駆け寄った
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