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「大丈夫だよ藍さん」
人食らいが刺さっている那由多は落ち着きながら、人食らいを胸から抜いた
那由多には傷も無く、人食らいの刀身に血が一滴も浸いていない
「・・・どう言う事だ?」
藍は現状を把握する事が出来ず、混乱しているのに対して紫は、納得したような赴きだった
「その刀には切ると言う概念が無いのね?」
「ついでに言うと妖喰らいもそうだよ」
那由多と紫のやり取りを聞いてようやく理解した藍は、那由多の頭を殴った
「うきゅ~。何するの?」
「この戯け!心配したじゃないか!」
顔を真っ赤にして怒っている藍を見て、那由多はオロオロしていた
「・・・御免なさい」
「あんな事をするなら、前もって言うんだぞ。分かったな?」
「うん」
「よし。いい子だ」
藍が頭を撫でてやると、那由多は嬉しそうに目を細めた
そんな藍と那由多を見ていた紫がスキマに両手を入れて、二人頭を殴った
「痛っ!」
「うきゅっ!」
「いい加減、話を戻すわよ」
「痛い・・・どこまで話したっけ?」
「あ痛たた・・・その刀が切る事が出来ないって所までだ」
「他に能力は無いの?」
「特に無いよ」
「そう。それじゃ、何でこんな妖刀が作られたのか分かるかしら?」
「えっとね、それは土宮の家業が退魔師だからだよ」
「・・・以外ね」
「私もです」
「土宮はその業界では屈指の退魔師だったんだよ。・・・でも嫌悪されてたらしいんだ」
「「・・・」」
「やり方が他の退魔師と違うのが原因だと思う。普通なら護符や清めた塩とか使って魔を祓うんだって。でも土宮は人喰らいと妖喰らいを使って祓うんだ」
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