第二章:in 八雲家

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「そのせいで他の退魔師との関係は悪くなったけど、依頼をして来る人達からは絶大な信頼を得ることが出来たんだ。だから、僕を含めた土宮は誰一人後悔してないんだよ」 話している間は、那由多は所々辛そうに喋っていたが、最後には誇らしげな表情だった 不意に那由多は、紫と藍に抱き締められた 「馬鹿ねぇ。子供が無理する事は無いのよ?」 「そんな表情をしていたら、無理をしている事ぐらい誰にでも分かるぞ」 「ふえ?」 那由多は二人の言っている事が理解出来なかった 那由多は自分がどれだけ土宮の事を誇らしげに思っているのかを伝え、とても良い表情だ ・・・少なくとも、那由多はそう思っていた 壁に掛けてある鏡が視界に入る 「あれ?」 おかしい 那由多はそう思った 鏡に写っているのは、今にも零れそうな程の涙を瞳に貯めた那由多 「変だよ。別に悲しくもないに」 何度も目を擦るが、直ぐに涙が溢れてくる 「那由多は良い子だ。悲しい事を今まで我慢してきたんだろ?ここでは我慢する事はない。泣きたいだけ泣け」 藍がそっと那由多を抱き寄せ、頭を優しく撫でた 最初は声を殺しながら泣いていた那由多だが、次第にその声は大きな泣き声に変わった ・・・・・ ・・・・ ・・・ ・・ 泣き疲れた那由多はいつの間にか、一定間隔の寝息を発てて眠った 寝ている那由多を起こさない様に、藍が小声で紫に話し掛けた 「・・・紫様。那由多をここで引き取ることは出来ないのですか?」 「それは那由多が決める事よ。私達がどうこうする事じゃないわ」 「そう・・・ですよね」 紫の返答を聞いて、藍は少し落ち込んでしまう 「・・・まぁ、あの女郎蜘蛛の怪我が治るまでは居てもらうつもりだけど」 「本当ですか!?」 「んっ」 藍が大きな声を出したため、那由多か目を醒ましかけた 「こらっ」 「すっ済みません。それより・・・」 「今の那由多が一人でここに出れば、格好の餌と代わりない。だから、女郎蜘蛛が万全の体制になるまでは外に出すつもりは無いわ」 その事を聞いて、藍はニコニコ笑いながら那由多を俗に言うお姫さま抱っこした 「・・・何処に行くのよ」 「那由多を布団に寝かせてきます」 そう言いながら藍は居間を出ていった 「・・・・別れが辛くなっても知らないわよ」
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