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「ん~。幻想郷って和風なものが多いんだ」
廊下を歩きながら那由多は思ったことを呟いた
「あー!?」
後ろから大きな声が聞こえ、ずんずんと足音を発てながら誰かが近付いてきた
「さっきはよくも私を売ったわね!!」
近付いてきたのはてゐだった。見た所反省の色が見えないので、那由多はからかうことにした
「・・・・・・?」
「ちょ、何よその誰コイツみたいな顔は!!」
「・・・誰?」
「うわっ!本当に言いやがったコイツ!!」
「で、誰なの?」
「さっき会ったばっかでしょ!てゐよ!因幡 てゐ!!」
「それぐらい覚えてるよ」
「ぬが~~!!」
変な奇声を揚げて、てゐはジレンマをを起こした
「いい加減に・・・」
「あ、鈴仙」
「嘘っ!?」
てゐは慌てて振り向いたが、鈴仙処か誰一人いない
「誰も居な・・・・・・逃げられた」
那由多を怒鳴り付けようとしたが、既に逃げられ、てゐは力なく項垂れた
「やり過ぎたかな?」
逃げた当の本人は窓からてゐの様子を見ていた
「ま、いっか」
那由多はその一言で済ませ、別の窓から中に入った
「何か他に面白いこと無いかな~」
窓から入った後は、リハビリのつもりで誰にも見つからないように潜入ごっこをしていたが、三時間もしていたら飽きてきた
「だったら私の部屋に来る?」
不意に後ろから声を掛けられたが、那由多は驚かなかった
「いいの?」
「あら?そんなに驚かないのね」
「だって、ずっと後を付いてきたでしょ?」
「なんだ、気付いてたんだ」
声の主は残念そうにしながら那由多の前に立った
その声の主は、那由多が永遠亭に来たときに初めて会った少女だった
「で、来るの?」
「行く」
那由多の答えを聞いて、少女は嬉しそうに笑った
「こっちよ。久方ぶりのお客さんだから丁重にもてなしてあげる」
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