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「誰もいない所ってここしか知らないや」
行き着いた場所は妖怪の山
那由多が初めて蜘蛛と共に幻想郷に来た湖の畔だ
那由多は苦笑を浮かべ近くの大木の根本に座り込んだ
「あ~あ」
落胆した
幻想郷に
そして
自分に
「僕って以外に気が短いんねぇ」
あの男の様に妖怪を悪く言う人は沢山居た
勿論、土宮と同じ業者の人だ
「何で手を出しちゃったんだろ?」
本当は分かっている
あの男が自分より弱く
あの男の近くに味方が居なかったから
「やっぱり、僕は向こうに居た方が良かったのかな?」
ふつふつと黒い靄の様なものが那由多の心に沸き出してくる
「僕は向こうに居れば良かったんだ。・・・それを」
その先を言いたくない
その先を考えたくない
那由多は願った。自分の暴走が止まるのを
だが、止まらなかった
その先を考えてしまった
そして
「蜘蛛なんて現れなければ良かったんだ!」
口に出してしまった
「・・・あ」
自分がとんでもない事を口走った事に那由多は気付いた
「う・・うぅぅぅうう!」
激しいジレンマを起こした那由多は走り始めた
とんでもない事を口走った事を忘れたい思いに突き動かされ妖怪の山を走り回った
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