第六章:もう一人の自分

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「さぁな」 帰ってきた答えは予想外のものだった 「なんで!?」 「俺は他の道を歩いてないんだ。分かるわけがないだろ?」 「そんなぁ・・・」 那由多の心は絶望に染まった もう一人の那由多は明後日の方を向きながらぼそっと何かを呟いた 「ただ、俺が目を醒ました後は、人喰らいと妖喰らいで殺しまくった」 「え?」 「おっともう時間だな。それじゃ、俺と同じ道を歩むなよ」 「くす。意地悪なんだね」 先程もう一人の那由多が呟いた事は、那由多には充分だった 「もし、何かに行き詰まったらまたここに来れば良い。相談には乗るぞ」 「ありがとう。それじゃぁ行くよ。またね、もう一人の僕」 「じゃぁな、もう一人の俺」 別れを告げると、周りの景色がまた暗くなった 「・・・ん」 次に目を開けた時には、幻想郷に戻っていた 「よし。さくっとやっちゃおう」 なぜ、もう一人の那由多が呟いた事だけで良かったのか? されは、錯乱する前にある事を考えていたのを思い出したからだ 考えていた事は二つ 全て『壊す』か 男に『謝罪』するかだった 自信満々に那由多は歩き出した 目指したのは八雲家ではなく、自分が殺してしまった男に『謝罪』するために
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