第六章:もう一人の自分

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「そこの。文と椛を連れてきてくれんか」 大天狗が適当に頼んだ者は大急ぎ何処かに行ってしまった 「さて、人の子」 「僕は那由多、土宮 那由多。人の子じゃないよ」 「それは悪かったの。儂は大天狗。この里の長であり、幻想郷に存在する天狗を束ねるものじゃ。那由多には悪いが、お主を試させてもらう」 「いいよ。何すればいいの?」 「今呼んだ二人から逃げればよい」 「わかった」 素直な那由多を気に入ったのか、大天狗が那由多の頭を優しく撫でた 「ただ今参りました」 いつの間にか、黒い烏の羽を生やした女性が大天狗の前に頭を伏せていた 「同じく」 こちらは白い狼の耳と尻尾を生やした女性 「おお、来たか。お主たち二人にはこの土宮 那由多の力試しに付き合ってもらいたいんじゃ」 「スペルカードは?」 「無論禁止じゃ」 「分かりました。椛、貴女から行きなさい」 「その前にしつもーん」 律儀に真っ直ぐと右手を伸ばしながら、那由多は話を遮った 「お姉さん達の名前は?」 那由多の質問に対して真っ先に話し出したのは狼の女性だ 「あ、私は犬走 椛です」 「・・・犬?」 「狼です!」 椛が必死に説得していたのを烏の女性が退かして前に出てきた 「私は射命丸 文。清く正しい新聞記者をやっています」 文はそう言いながら名刺を那由多に差し出した 「態度違う」 「使い分けてるのよ。で、他に質問は?」 「僕から手を出してもいいの?」 「別に良いわよ。・・・・・・当てれるならね」 余裕の笑みを浮かべている文を見て那由多は少しイラついた 「制限時間は各二分。それでは・・・始めい!」 大天狗の合図と同時に那由多と椛が動いた
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