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「・・・彼方を探す前にお墓を作らなくちゃ」
那由多は自分が殺してしまった男の亡骸を探し始めた
「・・・・・・彼方は・・・」
深い思考の底の中で彼方の事を考えていると視界の端に何かが映った
「・・・あ・・・山犬さん」
『あの時の男子(オノコ)か。久しいな』
「久しいって、会ったのは昨日でしょ?」
『何を言っている?私と男子が会ったのは十も前のことだぞ?』
「ふぇ?」
どうやら那由多が妖怪の山で目を醒ました時には、時が大分流れていたらしい
「あぅ・・・・・・あ、山犬さん、僕が殺しちゃったおじさんはどうしたの?」
『さぁな。私は何もしていないが、十もあれば他の妖が食らうて骨もなかろう』
「そっか」
那由多は男の亡骸があったであろう道の先に向き、手を合わせ静かに黙祷を捧げた
「ん、じゃぁね山犬さん」
『まて男子。・・・・・・・・・・・・そこに隠れておらず出てきてはどうだ?』
「あちゃーやっぱ妖は鼻が良いね」
林の中から那由多と対して変わらぬ背丈で白の長い髪の少女が出てきた
「・・・・・・」
那由多はその少女に見覚えがあった
そして、少女が手に着けている凶つ手によく似た白い手袋にも
「ヤッホーなっちゃん。久しぶりだねぇ。元気にしてたー?」
「・・・彼方」
『何だ?男子の知り合いか?』
「彼方・・・彼方が僕のお父さんとお母さんを殺したの?」
「やだなーなっちゃん」
「そう・・・・だよね。彼方が殺すわけないよね」
那由多は安堵の息を吐いた
だが
「私がしたに決まってんじゃん」
「・・・・・・え?」
その安堵もすぐに消え去ってしまった
「なっちゃんは私の物だもん。だからあの二人を殺したんだよ。どう?嬉しい?」
「・・・・・・らいだ・・・」
「え?なに?」
「彼方なんか大っ嫌いだ!!」
『男子!逃げろ!!』
山犬が叫んだ時には那由多は腹に鈍い痛みを抱えながら宙にいた
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