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「眩しい」
暫くの間、蒼い光に包まれ那由多は瞼を開けていることが出来なかった
『着いたぞ』
「ん、・・・・・・・綺麗な場所だね」
那由多と蜘蛛が行き着いた場所は大樹の森の中だった
目の前には池があり底が透けて見えるほど清んでいる
『ここは妖怪の山と人からは言われている』
「へぇ~、この場所には合わない名前だね」
『そう思うかもしれないが、この山には数多くの妖怪が住んでいる。故に妖怪の山だ』
蜘蛛の説明を聞いている内に、那由多の表情が暗くなっていた
「・・・見えないのにそんな名前を付けるのはおかしいと思うな」
表情が暗くなっていた原因がわかった蜘蛛は、ある事を那由多に告げた
『言い忘れていたが、幻想郷に住む者は皆、私達妖怪を見ることができるぞ』
「本当!?」
さっきまでの表情は消え、今の那由多の表情を見て、蜘蛛は心地好く感じた
不意に那由多がある一点を見ながら話し掛けてきた
「ねぇ蜘蛛さん」
その方向は人里があるのだが、那由多が知っている筈がない
『どうした?』
「誰か来るよ」
『・・・念のため隠れるぞ』
那由多を自分から少し遠ざけ、気を集中させる
次の瞬間、蜘蛛の身体から糸が飛び出し、まるで繭の様な姿になった
「隠れるって、これじゃ逆に目立っちゃうよ」
人と妖怪では感覚が違うのかと思いながら繭に近寄る
「蜘蛛さん」
繭の中に居る蜘蛛に呼び掛けた
「離れているように言った筈だぞ」
「あれ?」
繭の中から返事があった
今までなら頭の中に直接話しかけていたから疑問が浮かぶ
その様なことを考えていると、繭に亀裂が入り、粉々に砕けた
「人の言うことはちゃんと聞くべきだぞ。那由多」
繭があった場所には一人の女性が立っていた
小顔でつり目、髪は長く紫色で服は白い着物だが大きな紫色の蜘蛛の柄が一つ肩に描かれている
「蜘蛛さん?」
「人の姿に化けただけだ。それよりも早く隠れるぞ」
蜘蛛にてを引かれ近くの茂みに隠れた
暫くして変わった巫女の服を着た少女が飛んできた
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