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「食らいなさい」
霊夢が那由多と蜘蛛に太極図が描かれた球体で攻撃してくる
「この程度」
蜘蛛が手から糸を出し球体の動きを止めるが、全てを止める事が出来ない
(不味い、那由多に当たる!!)
蜘蛛の脳内にその事が浮かんだ時には、既に体が動いていた
・・・・
・・・
・・
「んっ」
頬に暖かいものを感じ那由多が目を醒ました
「蜘蛛さん?」
目の前には那由多を覆い被さる様に蜘蛛が居た
「怪我はないか、那由多?」
蜘蛛が笑みを浮かべながら話し掛けてきた
その笑みは何処か弱々しく感じる
「ほっぺたが濡れてる」
ほほを指で拭い、濡れているものを見た
それは、とても赤い水だった
蜘蛛をよく見ると、白かった着物が赤く染まっている
それを見て、那由多は自分の頬に着いていた水が何なのか分かった
「蜘蛛さん?背中怪我してるの?」
「気にするな。何日か寝れば治る」
蜘蛛が喋り終わった後、糸が切れたように眠った
「蜘蛛さん?蜘蛛さん!?」
必死に蜘蛛を呼び続けるが、反応が無い
「何?まだ生きてるの?」
少し離れた場所で霊夢の声が聴こえた
「もう、面倒臭いわね」
霊夢がそう言った後、また先程の球体で攻撃してくる
蜘蛛は気絶していて防ぐ事が出来ない
(僕が・・・・・次は僕が蜘蛛さんを守らなくちゃ)
那由多はどの様に蜘蛛を守るのか考えていると、体が勝手に動いた
那由多は蜘蛛を隣に寝かせ、自分が抱えている母の形見を置き、父の形見の袋に入っている物を取り出す
それは鞘と柄が白の刀
那由多は刀身を抜き放つ
「ふん、そんな刀一本でどうするつもり?」
霊夢が那由多を朝明笑うが、那由多は霊夢を相手にせず、迫る球体を見据える
球体が射程範囲に入ると同時に“切る”
いや、“切る”と言うよりも“吸収した”と言った方が正しい
球体は刀に触れた瞬間に消滅していた
「なっ何よそれ?」
霊夢は驚きを隠せないのか、手を止めていた
「人喰らい」
「えっ」
聞き取るのが難しい程に那由多は呟いた
「この刀の名前。人喰らいは霊力を食べる妖刀だよ」
「ちょっ!!そんなのあり!?」
霊夢が批判を叫んでいる間に、那由多は少しでも近づこうと霊夢に向かって疾走する
それに気付いた霊夢は、那由多に先程の球体と蒼白い光で応戦してきた
だがそれも、那由多が人喰らいを一振るいするだけで全て吸収した
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