第2章 進級試験

12/18
前へ
/48ページ
次へ
「それ以上触ってみろ、貴様の首をこの場で落としてやる。」 カイトは音もなく現れ、土御門の首に鋭く尖った爪を食い込ませていた。 「やっとお出ましか…」 土御門は優から離れ、優は素早くカイトの後ろに下がり、急いで服を整える。 「まだそんな姿でいたのか…元の姿に戻ったらどうだメフィストフェレスいやカイトか」 「なっなんで先生がそんな事!!」 「ユウ、落ち着け。貴様に言われるまでもない…」 カイトは優を制すると、小悪魔美女からいつもの姿に一瞬で戻る。 「恐ろしいまでにそっくりだな…」 土御門は眉間に皺を寄せ、呟く。 「先生っ教えてください!兄さんの事何か知っているんですか!どうしてカイトの事を知っているんですか!」 「悪いが、答えられん。」 「どうして…」 「それも答えられん。」 優は下唇を噛み締め、今にも泣き出しそうな顔で土御門を見つめる。 「だったら…吐かせるまで」 カイトが土御門の襟を掴み殴り掛かろうとした瞬間、土御門を強い光が包み込む。 「!」 カイトは土御門から離れ、優の前に立ち警戒する。 「主(あるじ)怪我はないですか!?」 「七夜(ナナヤ)か…問題ない」 光が土御門から離れる。 「今のは…」 「おいそこの変な奴っよくも主に乱暴な事をしてくれたな!!」 「へ?」 突然聞こえてきた声に驚き、優は辺りを見回すが声の主が見当たらない。 「奴の後ろだ」 カイトは優に聞こえるように呟く。 優が土御門の後ろに目をやると、先程までなかった動物の尻尾のようなモノがちらりと見え隠れしていた。 「七夜、出てきなさい。」 土御門の声に、後ろの尻尾がぴくりと反応する。 そして、尻尾の持ち主がひょこりと顔を出す。 「!」 優は七夜と呼ばれるそれを見て驚いた。 頭についた狐の耳、金色の髪、くりくりとした大きくて紅い瞳のかわいらしい顔立ち、白銀の美しい着物を身に纏い、ふさふさとした尻尾を揺らした身長150㎝位だろうと思われる少年が、土御門の後ろに隠れるように立っていたからだ。 か、可愛い!精霊かな?…でも先生いつ召喚したんだろう…
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加