第2章 進級試験

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「あ、主を虐める奴は僕が許さないです!」 七夜は優を睨むが、優より身長が低いため、ややうわ目づかいになってしまう。 「可愛い!!」 「ひゃっ」 可愛いモノにめがない優は、思わず七夜に抱き着く。 「あ、主っ人間が、人間がぁ」 七夜はもがきながら、土御門に涙目で助けを求めた。 「七夜、そいつは綾杉優。俺の知り合いだからお前に危害は加えない。」 「チッ。ユウから離れろこのちび獣!」 カイトは七夜の衿を掴み、優から強引に引きはがす。 「は、離せ変な奴!」 「黙れ。俺は変な奴ではないっ無駄口を叩くようなら、八つ裂きにするぞ!」 「ひぃっ」 七夜はカイトの手を振り払い、尻尾を丸め土御門に飛び付く。 「あーくそっ何なんだ…とりあえず、話を元に戻すぞ!!」 かなり脱線した状況を修正しようと、カイトが切り出す。 「貴様、ただの教師ではないな…その獣といい、貴様は何者だ?」 「察しは良いようだな。だか今はただの教師としか答えられん。」 「ふん、だと思った…では貴様はユウの道を塞ぐ者か?」 「良い質問だ。寧ろその逆…味方だ。」 優は、土御門の顔を見つめる。 先生…嘘をついているようには見えない。人間性はともかく、信用しても良さそうだ。 「綾杉、お前の問いに今は答えられんが時期がきたら全てを話そう。」 「…わかりました。」 色々ひっかかかるけど、今は先生の言う事を聞いておこう… 「そうだ、試験の結果だが合格を付けてけておく。」 「本当ですか!」 優の表情が柔らかくなる。 「だからさっきの一件は無しだな悪魔。」 土御門はニヤリと笑う。 「ふん。優が良いならかまわないが、次はないぞ…」 「わかっている。そうだ、綾杉一つ質問させてくれ…」 「何ですか?」 「そいつを呼び出した召喚書は、何処で手に入れた?」 「俺の家の近くの通学路から少し外れた路地に建っていたアンティークショップで…たしか店の名前がパンドラだったような…」 「ありがとう充分だ。あぁもうこんな時間か…」 談話室の壁に掛かっているアナログ時計は午後6時を指していた。 「気をつけて帰れよ。」 「あ、はい。失礼します…」 優とカイトは出口に向かう。
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