第1章 契約

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錬金術、魔術、科学の急速な発展により生み出された人口都市セイレン 人々は精霊と契約し使役することにより豊かな生活を送っていた… セイレンに唯一の召喚士育成機関ミスティーク学園では今日も若き召喚士達が勉学に励んでいるのであった。 -ミスティーク学園裏庭- 「我汝と契約を望むもの我の前に姿を現せ…ウンディーネ!」 … 「我汝と契約を望むもの我の前に姿を現せ…サラマンダー!!」 …… 「我汝と契約を望むもの我の前に姿を現せシルフ!!!」 ……… 「我汝と(以下略)ノーム!!!!」 ………… 「はぁ…四精霊もダメか…」 ミスティーク学園第2学年の綾杉優(アヤスギユウ)は進級試験である「精霊との契約」に苦戦していた。 「なんで上手くできないんだろう…」 がくりとうなだれる。 進級試験の内容が発表されてから2ヶ月が経つが、初級召喚術さえ成功していない。 「優?」 聞き慣れた声に顔を上げる。 「なんだ美緒か…」 「なんだとは何よ?どう上手く行ってる?」 櫻井美緒(サクライミオ)は優の幼なじみ。 成績優秀でクラスの皆から慕われる姐御的存在。 「進歩無し……はぁ」 美緒は顎に手をあて眉間に皺を寄せて考えた。 「うーんそぉねぇ…魔力のコントロールが上手くできてないんじゃないかしら?」 「うっ…いやそんな事はない…はず…」 自分なりにはできていると思う。 「じゃあ魔法陣の書き間違いとか?」 「いや…毎回確認してるし…」 魔法陣に問題はない。 毎回必ず確認してる。 「じゃあセンスが無いのかしら…」 「っ……」 尖ったナイフが胸をえぐる。 薄々気付いていたが、言葉にされると流石に傷つく。 「じゃあ…」 「わ、悪い美緒!用事思い出したから俺行くわ…ありがとなっ」 振り返らず全速力で走り去る。 「あ、優!」 優の姿がどんどん小さくなっていく。 「優…」
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