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「ふぁ~生き返る」
優は浴槽の湯に浸かり、大きくのびをする。
浴室は、一人暮らしにはちょうどよい広さのユニットバス。
トイレが別になっているところが贅沢だ。
「今日は色々あったな…」
進級試験に合格したのは良かったけど、先生の豹変ぶりには驚いた…美緒に話しておいたほうがいいのかな?…いや止めとこ。話したところで、信じてもらえないだろうし…。
それより、先生が言ってた時期が来たら全部話すって、どうゆう事なんだろう…
優は口まで湯に浸かり、ぶくぶくと泡をたてる。
「おい、これは何だ?」
「ぶっ!」
突然聞こえた声に驚き、優は浴槽のお湯を飲んでしまう。
「ごほっごほっな、何やってんだ!?」
「何って、見て解らないのか?」
カイトは、右手にシャンプー、左手にボディソープを持ち、首を傾げている。当然だが全裸で。
「いや少しは解るけど…そ、それよりいつ入って来たんだよ!」
「お前が浴槽で泡をたてている辺りからだ。」
「そ、そう…」
考え事をしてたから気付かなかったのかな?…いやそんなはずは無い!どうせ壁でも通り抜けて来たんだろ。
「ドアから入ったぞ。」
「うっごめん…」
ってまた勝手に心を読みやがった!!
優は肩まで湯に浸かり、カイトを睨む。
「で、これは何だ?」
「右がシャンプー、左がボディソープ。」
「シャンプー?」
「頭を洗うやつ。」
優はカイトを困らせようと、わざと詳しい説明をしない。
少しは思い知れ!
優の思惑通りに、カイトは眉間に皺を寄せてシャンプーをじっと見つめて考えていた。
ついには、シャンプーを回したり振ったりと、ビジュアルに全く合わない行動をとり始める。
なんか、かわいそうになってきたな…まぁ許してやるか。
「貸してみろよ」
優は満面の笑みで、手を差し出す。
「お前…」
「まぁ座れって!」
カイトの言葉を遮り、強引に椅子に座らせる。
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