第2章 進級試験

15/18
前へ
/48ページ
次へ
「ふぁ~生き返る」 優は浴槽の湯に浸かり、大きくのびをする。 浴室は、一人暮らしにはちょうどよい広さのユニットバス。 トイレが別になっているところが贅沢だ。 「今日は色々あったな…」 進級試験に合格したのは良かったけど、先生の豹変ぶりには驚いた…美緒に話しておいたほうがいいのかな?…いや止めとこ。話したところで、信じてもらえないだろうし…。 それより、先生が言ってた時期が来たら全部話すって、どうゆう事なんだろう… 優は口まで湯に浸かり、ぶくぶくと泡をたてる。 「おい、これは何だ?」 「ぶっ!」 突然聞こえた声に驚き、優は浴槽のお湯を飲んでしまう。 「ごほっごほっな、何やってんだ!?」 「何って、見て解らないのか?」 カイトは、右手にシャンプー、左手にボディソープを持ち、首を傾げている。当然だが全裸で。 「いや少しは解るけど…そ、それよりいつ入って来たんだよ!」 「お前が浴槽で泡をたてている辺りからだ。」 「そ、そう…」 考え事をしてたから気付かなかったのかな?…いやそんなはずは無い!どうせ壁でも通り抜けて来たんだろ。 「ドアから入ったぞ。」 「うっごめん…」 ってまた勝手に心を読みやがった!! 優は肩まで湯に浸かり、カイトを睨む。 「で、これは何だ?」 「右がシャンプー、左がボディソープ。」 「シャンプー?」 「頭を洗うやつ。」 優はカイトを困らせようと、わざと詳しい説明をしない。 少しは思い知れ! 優の思惑通りに、カイトは眉間に皺を寄せてシャンプーをじっと見つめて考えていた。 ついには、シャンプーを回したり振ったりと、ビジュアルに全く合わない行動をとり始める。 なんか、かわいそうになってきたな…まぁ許してやるか。 「貸してみろよ」 優は満面の笑みで、手を差し出す。 「お前…」 「まぁ座れって!」 カイトの言葉を遮り、強引に椅子に座らせる。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加