第2章 進級試験

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「嬉しそうだな。」 「そ、そんなことないよ!ほらお湯かけるぞ!」 シャワーから出るお湯を、カイトの頭にかける。 「シャンプーはこうやって使うんだ。」 シャンプーのボトルのポンプを数回押し、液体を掌で受け、カイトの頭にのせて泡立てる。 「美しい…」 「?」 カイトは、鏡ごしに優を見つめる。 「な、何見てんだよ?」 「お前は身体も美しい…」 「なっ!」 優の顔が真っ赤に染まる。 「あ、頭に泡のっけたまま変な事言うな!」 シャワーの出る強さを最大にし、カイトの頭にかける。 「っ!め、眼に泡が…」 ざまぁみやがれ!! 優は小さく舌を出す。 泡が無くなるまでお湯をかけ、シャワーを止める。 「身体は自分で洗えよ。ボディソープのボトルのポンプを押して、タオルに液を付けて泡立てるだけだから。」 優はそそくさと浴槽に戻る。 「洗ってやろうか?」 「いいよ、俺はもう洗ったし。」 「そうか。」 カイトは優に教えられた通りに泡を立て、身体を洗う。 俺の身体が美しいって…自分のほうが綺麗じゃん…って何考えてんの俺! 「な、なぁ、お前さ…」 「ん?」 「…いや、何でもない。」 何で兄さんに似てるんだ、なんて変な質問だよな… 「何で兄さんに似てるんだ。」 「また読む…」 優は頬を膨らませ、口を尖らせる。 「そう膨れるな。途中で止められては気になるだろ?」 「それもそうだけど…」 だからって心を読むのは納得がいかない! 優はさらに頬を膨らまる。 「ふ…そんな顔をするな。キスしたくなるだろ。」 「ば、馬鹿言うな!!」 優は近くにあった湯桶を勢いよくカイトに投げ付けるが、カイトはそれを軽々と片手で受け止める。 「まぁ落ち着け…俺がお前の兄に似ているのではなく、お前が俺の姿を兄に似せているんだ。」 「も、もう少し解りやすく…」 「悪魔に固定された姿は無い。だから、召喚した者の一番愛しい者の姿を反映させる。つまり、俺の姿はお前が一番愛した者の姿…兄戒斗の姿になるわけだ。」 「そうだったのか…」
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