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「ふん、気安く話しかけるな人間の雌。」
カイトは、美緒の手をはらう。
「な!?」
「カイトっお前…」
優の視界が大きく揺れる。
え…?
「ユウ!」
「優!」
カイトは、倒れかけた優を素早く抱き留める。
「あ…」
視界が定まると、カイトの心配そうな顔が見えた。
「ユウ…顔が赤いぞ。」
カイトの大きな掌が、優の額に置かれる。
「熱?…いや違うか…」
心配そうなカイトの顔がゆっくりと優に近付く。
その瞬間、昨夜の光景が走馬灯のように脳裏に広がる。
「っ!だだだだっ大丈夫だから!」
優は湯気が出るほど顔を真っ赤にし、慌ててカイトを突き飛ばす。
「みっ美緒行こう!」
「えぇっ?!」
優は驚く美緒の手を握り、グランドに向かって全速力で走り出す。
「…魔力が乱れている?」
カイトはぽつりと呟くと、突き飛ばされた時の格好のまま、暫く走り去る優の姿を見つめていた。
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