第3章 夢

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「はい、それでは召喚した精霊に魔法を使わせてみましょう。」 土御門はいつも通りの穏やかな表情で、生徒たちの前に立つ。 「では櫻井さんに、お手本を見せてもらいましょう。お願いします。」 「はい!」 土御門に指名された美緒は、皆より一歩前に出て、深呼吸をする。 「よしっハーピー行くよ、つむじ風!」 「了解!」 美緒の隣に控えていたハーピーは空高く舞い上がり、腕に付いた羽を大きく仰ぎ、巨大なつむじ風を起こす。 「素晴らしい!上出来です。」 生徒達から拍手が沸き上がる。 「コツは精霊に送る魔力の量を均一にすることです。それでは、各自始めてください。」 土御門の指示に従い、生徒達は散らばり、精霊に指示を出す。 「ユウ、大丈夫か?」 カイトが優の顔を覗き込む。 「え?あぁうん…大丈夫。」 なんか頭がぼーとする… 「おや?どうしました綾杉君。」 にこやかに微笑みながら、土御門が優に近付く。 「げっ」 優は無意識に、不快な表情を浮かべてしまう。 「おや、先生に対して、そんな顔をするのは良くありませんねぇ?」 うう、昨日何もなかったかのように話しかけるなよぉ…怖いっ 「何だ怯えているのか?くくっそんな顔をするなよ?喰ってしまいたくなるだろ。」 土御門は優の頤を掴む。 「ひぃっ」 優は小さく悲鳴をあげる。 「触れるな。」 カイトは土御門の腕を掴み、優の頤を掴む手を離させる。 「なんだ居たのか、気付かなかった。」 わ、わざとだ… 「貴様…やはりあの時に消しておくべきだった。」 カイトは殺意のこもった瞳で、土御門を睨み付ける。 「今のお前では、俺を消すことはできん。」 「やってみなければ解らないだろ?」 「くくっ無駄だと解っていてもか?」 今にも殺し合いが始まりそうな、一触即発の状況。 あわわわっど、どうしよう! 「カ、カイ-。」
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