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「はぁはぁ…もう…走れない…はぁ…」
どれくらい走ったんだろう
気がつけば通学路から少し外れた人通りの無い路地を歩いていた。
「…はぁ俺って馬鹿だな…」
美緒は悪くない
ただ召喚ができない原因を考えてくれただけなのに…
でもあれ以上聞いていたら心が折れてたな…
「でも逃げたのはまずかったな…明日ちゃんと謝ろう」
しばらくふらふら歩いていると見慣れない看板が立っていた。
(貴方の求めるモノが必ず見つかる!アンティークショップ・パンドラこの角を曲がってスグ)
看板の案内に従って歩く
「本当にすぐだな…」
アンティークショップは角を曲がって2歩歩いた所にあった。
「求めるモノが必ず見つかる…」
優は戸惑いながら扉を開き、店に入った。
薄ぐらい店内
揺れる蝋燭
怪しい置物の数々
「す、すいませーん…」
声はまるで店内の闇に吸い込まれるように消えていく。
人居ないのかな…
「おや?珍しいお客様ですね。」
「!?」
後ろから聞こえた声に心臓が凍付く。
振り返って思わず目を見開く。
全身を覆うほど長い黒色のローブを羽織り、目が見えそうで見えないくらいにフードを被った店員らしき人物が立っていた。
こ、怖い…
「いらっしゃいませ。お探し物はなんでしょうか?」
しかし見た目とは違い、声はとても響きがよい。
体格はスラリしていて、顔の見えてる部分は中性的な感じだ。
フードから垂れている金髪は蝋燭の明かりに照らされて煌めく。
登場の仕方は異常だったが、じっくり見ると以外に人間ぽいし以外に美形かもと優は店員をまじまじと観察していた。
「お客様?」
優は、はっと我にかえった。
「あっあぁすみません…あの、しょ、召喚術の本はありますか?」
店員の問いに驚いたのと、見とれていた事が恥ずかしくなり声が裏返ってしまう。
「こちらに…」
蝋燭数本で明かりがまかなえるそう広くはない店内。
その片隅に置かれた本棚には、召喚術に関するの本が沢山並んでいた。
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