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「此処は…」
部屋にはカーテンで区切られた個室あり、その個室にはベッドが一台づつ列んでいた。
「保健室、病人が寝るところだ。そこのベッドを使え。」
カイトは、土御門が指を差したベッドに優をそっと寝かせる。
ユウ…
優の乱れた前髪を、優しく分ける。
「くくっ」
「何が可笑しい。」
「いや、すまない。悪魔でもそんな表情ができるんだなと思って。」
カイトは、ニヤリと笑う土御門を睨み付ける。
「まぁそう怒るなって。」
土御門はカイトに向かって、落ち着けとジェスチャーをする。
「魔力も安定しつつあるな、後は綾杉が目を覚ますのを待つだけ…暇だな?」
カイトの様子を伺うが、カイトは土御門を無視し、心配そうに優を見つめていた。
「つれないなぁ…あ、そうだ。お前、戒斗について綾杉から聞いているか?」
「…。」
「なんだ、聞いていないのか?じゃあ教えてやるよ。」
「いらん。」
「くくっ頑固だな。知りたいんだろ?」
「黙れ。」
「素直じゃないな。じゃあ独り言だ…綾杉戒斗は優秀な召喚師でその才能が国に認められ、17歳という若さで都市守護機関ガーディアンに入隊した。」
「ガーディアン?」
お、食いついた。単純な奴め…
土御門は心の中で、小さく笑った。
「警察と軍が合体したようなもので、扱う事件や任務は特A級…つまり一般には公開されない機密事項が含まれているものばかり。しかも、ガーディアンになれるのは召喚師の中で最も優秀な者だけ…」
「ふん…」
カイトは、興味がなさそうなそぶりを見せる。
「だが奴は、入隊してしばらく経ったある日、突然失踪した。」
「原因はなんだ?」
「不明だ。だが失踪する直前に人に会っていた…人というか人だった者か。」
「…」
カイトは疑問を言葉にせず、眉間に皺を寄せ表情に表した。
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