第3章 夢

7/24
前へ
/48ページ
次へ
「此処は…」 部屋にはカーテンで区切られた個室あり、その個室にはベッドが一台づつ列んでいた。 「保健室、病人が寝るところだ。そこのベッドを使え。」 カイトは、土御門が指を差したベッドに優をそっと寝かせる。 ユウ… 優の乱れた前髪を、優しく分ける。 「くくっ」 「何が可笑しい。」 「いや、すまない。悪魔でもそんな表情ができるんだなと思って。」 カイトは、ニヤリと笑う土御門を睨み付ける。 「まぁそう怒るなって。」 土御門はカイトに向かって、落ち着けとジェスチャーをする。 「魔力も安定しつつあるな、後は綾杉が目を覚ますのを待つだけ…暇だな?」 カイトの様子を伺うが、カイトは土御門を無視し、心配そうに優を見つめていた。 「つれないなぁ…あ、そうだ。お前、戒斗について綾杉から聞いているか?」 「…。」 「なんだ、聞いていないのか?じゃあ教えてやるよ。」 「いらん。」 「くくっ頑固だな。知りたいんだろ?」 「黙れ。」 「素直じゃないな。じゃあ独り言だ…綾杉戒斗は優秀な召喚師でその才能が国に認められ、17歳という若さで都市守護機関ガーディアンに入隊した。」 「ガーディアン?」 お、食いついた。単純な奴め… 土御門は心の中で、小さく笑った。 「警察と軍が合体したようなもので、扱う事件や任務は特A級…つまり一般には公開されない機密事項が含まれているものばかり。しかも、ガーディアンになれるのは召喚師の中で最も優秀な者だけ…」 「ふん…」 カイトは、興味がなさそうなそぶりを見せる。 「だが奴は、入隊してしばらく経ったある日、突然失踪した。」 「原因はなんだ?」 「不明だ。だが失踪する直前に人に会っていた…人というか人だった者か。」 「…」 カイトは疑問を言葉にせず、眉間に皺を寄せ表情に表した。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加