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「凄い…」
本棚にはとても古そうな本や、どこの国の言葉かわからない本が並んでいた。
その中である一冊の本が、優の目にとまった。
(誰でもできる召喚術~上級精霊編~)
「これは…」
「これはこれは、お客様はお目が高い!」
店員は大袈裟にリアクションした。
「この本は魔力のコントロールが下手な方や召喚センスが無い方でも、必ず召喚術を成功させる事ができる本なのです!」
いたたたた…色々刺さるんですけど…
でももしそれが本当なら、進級試験はなんとかなるかもしれない!
「こ、これください?!」
優は息を荒くしながら、店員に本を差し出した。
「どうぞ、その本は差し上げます」
店員は本をそっと押し返した。
「えぇっ本当ですか!?」
優は心の中で小さくガッツポーズをし、小躍りしたい気分になった。
「しかし…その…実に申し上げにくいのですが…」
店員は滑るように優に近付き、にんまりと笑った。
「?」
「その、少し分けて頂きたいのです…」
「え?」
店員はさらに優に近寄り、優の身体をくんくんと嗅ぎ始めた
「素晴らしい…こんなに純度が高い物は何百年ぶりだろうか…あぁ馨しい…」
店員はぶつぶつ独り言をつぶやき始めた。
「あ、あのなんの事ですか…」
優は引け腰になりながら店員に尋ねた。
「あぁこれは失礼致しました。」
店員は我にかえり、深々と頭を下げた。
「貴方の魔力を分けて頂きたいのです。」
「ま、魔力でいいなら…」
優は内心ホッとしていた
店員に嗅ぎ回られたので、身体の一部でもよこせと言われるのでわないかと不安だったからだ
「ありがとうございます、ではこの小瓶に一滴の血を垂らしてください…」
店員はそう言いながら、ローブの中から取り出した小さな瓶と銀色の細い針を優に差し出した。
「ッ…」
優は人差し指に針を刺し、小瓶に一滴の血を垂らした。
すると血は瑠璃色の気体に変化し小瓶の中で渦を巻いていた。
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