第2章 進級試験

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道、果てしなく続く道 空は灰色一色で太陽も月も何も無い 「此処はどこ…」 はっきりとしない意識 「優…」 心地よい声音 随分長い間聞いていなかった 「にい…さん…」 ぼんやりと浮かぶ人影 「優…さようなら」 「え…」 人影が遠ざかっていく 「待って…待って!」 必死に追いかけるがどんどん引き離される 「嫌だっ一人は嫌だ!行かないで…」 涙で視界がさらにぼやける 「優……」 人影は消え、声だけがこだまする 「うっにぃさん…俺を…置いて行かないで…戒斗兄さん!!」 「ユウ!!」 「!」 「ユウ…」 優の顔を心配そうにカイトが覗き込んでいた。 あ…夢… 涙で視界が霞むが、カーテンの隙間から差し込む光に照らされた室内を見て、自分の部屋だと認識する。 昨日の一件で嫌な夢を見てしまった… 優は涙を拭う。 「あぁ…大丈夫…ってえぇ!?」 優は慌てて起き上がる。 「な、なんでお前が俺のベットに居るんだよ!?」 「朝から喚くな…」 カイトはため息を着いた。 「いやいや、お前精霊だろ!契約が済んだら喚ばれるまであっちの世界に戻って待機しろよ!!」 カイトは優の慌てふためく姿に呆れたと言わんばかりに肩をすくめ、大きなため息を着く。 「お前は何か勘違いをしているみたいだから丁寧に説明してやる。一つ俺は精霊ではなく悪魔だ。あんなひ弱な下等生物と一緒にするな…」 「へ?」 精霊じゃない… 「二つ俺は契約者の死亡または契約者からの契約の破棄が無い限りこちらの世界に留まらねばならない…以上だ」 「ちょ、ちょっと待て!精霊じゃないって?お前を喚んだ召喚術の本の表紙には確かに精霊と…」 優はベットから飛び降り、鞄をひっくり返し召喚術の本を探した。 「あるはずないだろ…俺が此処に存在している限り本は現れない」
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