第8章 戦域:無慈悲

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「グァ…ハ…ッ!?」 ブン…! 空気を裂くような速さで薙ぎ払う。 ジャっと地面に音を立てて転がる骸。 鮮やかな手つきだった。 振り返り、手を下した背後の仲間に声を掛ける。 「谷殿、腕をあげましたな。」 「いえ、武田さんには及びませんよ。」 血を振り払うように槍を一薙ぎすると、今し方の鮮血が砂利に纏わり付く。 困ったように笑い、彼もまた先程の自分と同じように空を見上げた。 「この月は…今夜のためにあるようですね。」 その声は、初夏の生温い風に掠われて行った。
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