本とあなたと告白と

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そんな中、いつの間にか閉館の時間になってしまった。 しょうがない。借りていこう。 本の内容が、頭に入って来なかったので、仕方なく借りることにした。 本を閉じて席を立つ。カウンターに置いてあるファイルを開き、学年・クラス・名前・貸し出しの本の題名を記入し、後ろを振り返った。 「借りるなんて珍しいね」 「…そうでもない」 「あら、私が見てた限り借りたことなんて一度も無かったよ?」 「見てた限りって」 一体いつから見てたんだ と心の中で呟いた。 確かに、高校に入ってからは、本を借りたことは無かった。 それは放課後にゆとりが出来たから、図書室で読み切る事が多かったのだ。 そんなこと僕自身気にかけたことはない。 「私、観察力が凄いの」 「へぇ」 「あ、信じてないでしょ。本当なんだから」 「別に、嘘だとは思ってないよ」 そんなくだらない事を話しながら玄関まで来た。 何故か彼女と一緒に帰る事になっている。 彼女とはクラスが隣だったらしく、下駄箱が意外にも近かった。
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