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心地よい振動が、僕の眠気を一気に誘う。まるでゆりかごのようだ。
もう少しで夢の世界。そんなとき、僕の頭の中が、何者かによって大きく揺さぶられる。
なんだ?
ヅキヅキと痛む頭に異変を覚えた僕は、まぶたを開けようとしてみたが、どうにも重たくて持ち上がらない。
漆黒の世界を見つめ、僕は激しい頭痛と戦った。
その時、真っ暗な世界にただ一人、小柄な少女が姿を現した。
不思議だな。こんなに暗いのに、あの子の姿がはっきりと見える。
実に不思議だ。
黒髪のロングヘアー。透き通るような青い瞳。あどけない表情をみると、やはり”少女”なのだろう。
白いワンピースを着た少女は、クスクスと微笑みながら、ゆっくりと僕に近づいてきた。
あぁ。
僕は知っている。
この少女を。
「久しぶりだね」
目の前にちょこんとたたずむ少女に向かい、僕は優しく呟いた。
あまり大きな声を出すと、壊れてしまいそうだったから。
少女は僕の声に頷くことも、首を横に振ることも、まして返事を返すこともせず、小さい体を精一杯伸ばし、僕の体に手を伸ばす。
頭、鼻、喉、胸へと触れていく少女の手。
頭痛がより激しくなり、鼻がむずむずし始める。
行き詰った酸素が無理やり出ようと喉を刺激し、胸が焼けるように熱くなる。
久しぶりだな。この感覚。
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