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少女と最後に会ったのは、たしか……十年前だったか。
その時も、突然僕の元に現れた少女は、僕の体を熱くさせたっけ。
胸の鼓動が高まり、全身の温度が急上昇。
僕は少女に話をかけたけど、やっぱり答えてくれなくて……。
こんなに近くにいるのに、僕の体は動かなくて、触れることさえできなかったな。
一方的に触れるだけだった。
だけどそれはまるで、僕の体が少女と一体化しているような感覚だった。
最初は苦しかったけど、じょじょに体が浮いていくのような、例えるなら、そうだな、熱気球のような感じ。
まぁ、一度として熱気球になったことはないけれど、たぶんそんな感じだろう。
それからしばらく彼女と過ごして、突如僕の前から姿を消した。
突然現れて、僕をめちゃくちゃにして、そして突然いなくなる。
なんて小悪魔的なんだ。
そんな少女と今、十年越しに再会した。
この再開には、いったいどんな意味があるのだろう。
運命?
試練?
十年前の僕は幼すぎたから、出会いの意味なんて考えてなかったけど、今ならわかるかもしれない。
君と再会した意味を。
十二月、澄み切った寒空の中、僕は再び、風邪と言うなの少女に出会った。
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