再開

5/5
前へ
/7ページ
次へ
少女と最後に会ったのは、たしか……十年前だったか。 その時も、突然僕の元に現れた少女は、僕の体を熱くさせたっけ。 胸の鼓動が高まり、全身の温度が急上昇。 僕は少女に話をかけたけど、やっぱり答えてくれなくて……。 こんなに近くにいるのに、僕の体は動かなくて、触れることさえできなかったな。 一方的に触れるだけだった。 だけどそれはまるで、僕の体が少女と一体化しているような感覚だった。 最初は苦しかったけど、じょじょに体が浮いていくのような、例えるなら、そうだな、熱気球のような感じ。 まぁ、一度として熱気球になったことはないけれど、たぶんそんな感じだろう。 それからしばらく彼女と過ごして、突如僕の前から姿を消した。 突然現れて、僕をめちゃくちゃにして、そして突然いなくなる。 なんて小悪魔的なんだ。 そんな少女と今、十年越しに再会した。 この再開には、いったいどんな意味があるのだろう。 運命? 試練? 十年前の僕は幼すぎたから、出会いの意味なんて考えてなかったけど、今ならわかるかもしれない。 君と再会した意味を。 十二月、澄み切った寒空の中、僕は再び、風邪と言うなの少女に出会った。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加