春一番は突如吹く

11/22

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
家族の写真 父親と母親に挟まれて、無邪気に笑っている幼い自分。 その笑顔が親に見捨てられた自分を嘲笑っているようで…… 写真の中にかりそめの幸福を見たようで…… 自分の中に沸いて出る感情を 「くだらねぇ」 一言で切り捨てた。 写真の中には家族がいた幸せがある。 では家族のいない現実は不幸か? 否 「そうじゃねぇ。あんた達がいなくても俺はただの平凡な中学生だよ。」 それが家族を失った仁の…… 歪んだ結論だった。 仁は第一ボタンだけ開け、学校指定の鞄を背負い部屋を出た。 倒された写真たてを残して
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加