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放心し、桜に消えてく桜の髪を見ている仁は
『コツッ』
と頭になにかが当たった感触で現実に戻った。
頭に当たった物は、円錐形で帽子のように乗っかっている。
それを手に取ってみる。
「……カップヌードルカレー味……」
(いくら遅刻しそうだからって、カップヌードル食いながら学校に行くか?普通)
そのあまりにもありふれた物と、
当然過ぎる疑問が、夢のような時から平凡にもどした。
「カレー臭ぇ。」
鼻の奥に突き刺すような香辛料の匂いが、そこにあってはいけないような気がした。
春の妖精は……
もういない。
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