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「と、とにかくね!何と転校生が来たのです!」
先程の失言を誤魔化すように、無理にテンションを上げて言う。
(転校生?新学年始まったばかりのこの時期に?そう言えば、教室入ったときに転校生って単語を聞いた気がする。)
一人でウンウン唸りながら考えている仁は、隣の席の牡丹の汚物を見るかのような冷たい視線に気がつかない。
そして、
「……というより、ただでさえも問題の多いこのクラスに転校生って、絶対厄介者を押し付けられてるわよね。あのハゲども……」
ワイワイ盛り上がっている生徒たちは、ミッチーの愚痴に気づかない。
「問題ってのは、俺のことですか?先生?」
ただ一人、令二を除いて。
「さぁ、転校生ちゃん入ってらっしゃい。」
聞こえていたはずの言葉をあからさまに無視し、転校生を促す。
そして、言葉からワンテンポ遅れて、扉が開く。
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