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仁が成長するのに比例するかのように、両親の会社も大きくなった。
無論両親も忙しくなり、仁などに構うことも無くなっていく。
ふと気がつくと仁は、一人になっていた。
最後にあったのはいつか、
今どこにいるのか、
何をしているのか、
何一つ解らない。
ただ風の噂によると、会社の経営はかなりいいらしいと言うことだけ。
とは言っても、会社の名前すら知らない仁にとっては何も解らない。
今両親との繋がりは、毎月振り込まれる金
それも、一人でどうやれば使いきれるのかも解らない大金。
たったのそれだけ。
通帳に書き込まれた数字の羅列には、
遠く離れた息子を想っているのか
ただ毎月の出費として、事務的に扱われているのかも
解らない。
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