初めましてと言っておこう

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健吾の目は焦点が合っておらず、怪人の言葉も耳に届いていない。彼が使い、跳ね返された技は精神を破壊する技であり、二度と元には戻らないのだ。 健吾は精神に干渉できる能力者で、彼の手口は精神を破壊した後で、洗脳すること。 その手口で和美をヴァイスに所属させるつもりだったのだろう、怪人は音声録音などが無いように用心して、健吾の携帯を取り出して壊す。 それが終わると姿を消した。その日の終わり、和美のクラスのSHRでは、来たばかり健吾が家庭の事情で再び転校下と知らされていた。 生徒は怪しげに思いながらもがっかりし、和美も怪しげに思いながら、内心では大喜びする。 そうして帰路に就いた和美、その途中で思う。 (今日は厄日だ) 何故かと言うと、特殊装甲バスを降りた途端にシュヴァルツの怪人に襲撃されているからだ。 怪人は長身痩躯の黒猫で、機械チックな体つきの男性型、その指先は鋭く、尻尾も生えていて、雑兵は居ない。 和美は逃げようと駆け出すのだが、躓(つまず)いてしまった。黒猫の怪人は和美を標的にしたのか、ゆっくりと歩み寄って来る。
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