プロローグ

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ここは悪の組織シュヴァルツの地下実験場、今は正義の組織ヴァイスに攻め入られ、瓦礫の山になっており、そんな中で声が響く。 「博士!柿谷(かきたに)博士!目を開けて下さい!生きて奥さんと娘さんに会うんでしょう!?」 そう言って血まみれ中年男性に呼びかけるのは黒いスーツの男、その顔は黒くて凹凸がなく、鼻、口、耳が見当たらない。 そして常人の目のある位置には、大きな目が中央にあるだけだ。 中年男性は短髪で四角い眼鏡をかけており、口元には無精髭が生えて少し窶(やつ)れている。 しかし今は口から血を吐き出し、下半身を失っていた。 博士は涙を流しながら呼びかける彼の頬を撫でて笑顔を作り、弱々しい声で遺言を告げる。 せめて遺体と遺言状は家族の下へ送り届けて欲しい。と、彼はそれを了承し、それを見た博士は息を引き取った。 彼は博士の下半身を探し出し、シュヴァルツとヴァイスのメンバーの屍を無視して遺体を運ぶ。残党は居ない、彼が皆殺しにしてしまったから。
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