243人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
そして健吾は、集まってきたクラスメイトからの質問責めにあっていた。
和美は健吾を良く思っていない、勘であるが笑顔が胡散臭く感じ、どこか自信家の節があったからだ。
そうして授業中には内心嫌々ながら教科書を見せ、休み時間にはなるべく避け、遂(つい)に昼休みになった。
健吾はその容姿のお陰で早速一目惚れされ、人混みに囲まれている。その隙に和美は弁当を持ち、その場を後にした。
自意識過剰かも知れないが、あのまま居れば絡まれる予感がしていたからだ。
それに絡まれれば、健吾を好きな取り巻きから敵意の視線を貰うだろう、平穏に暮らしたい和美は、それを免(まぬが)れたかった。
そうして他の友人のクラスに向かうと、健吾に興味が無いのか、その友人は弁当には手を付けずに、和美を待っていた。
そうして健吾のことを愚痴りながら食を進める二人、彼女達は知らない、健吾が学校に来る日は今日が最初であり、最後であることを。
そうして食事も終わり、彼女達が雑談している頃、健吾は一人、体育館裏に移動して携帯を操作し、誰かに電話をかけていた。
最初のコメントを投稿しよう!