59人が本棚に入れています
本棚に追加
「これを」
その箱は真っ直ぐに信二に向けられていた。信二はその箱をじっと見下ろした。
ケーキを入れるような大きな白い箱で、かわいらしいピンクのリボンが箱にまとわりついていた。
中身は見なくても大体分かる。
今日がバレンタインデーだから。
だから信二はもらうわけにいかなかった。
亜美のことがあるから。
「すみませんが」
言いづらそうに言葉を吐き出す。
「彼女がいるのでこういう物は……」
最初のコメントを投稿しよう!