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「イヤ、何だじゃないって!」
「忙しないわね~」
湯飲みを口に傾けて和んでいる佐和子。
「忙しなくさせているのは誰だよ!」
「まあ、そういうわけで転入だから」
「……え、マジで転入?」
「そう、明日からだから。
もう聖華学園で手続きも済ませてきたからね」
「……マジで……?」
「ん?」とここで翔太はある事を疑問に思った。
「転入って……俺、編入試験とか受けてないんだけど」
「ほら、一週間前くらいにゼミの体験テストを受けに行ったでしょ?」
「ああ、そういえばそんなものもあった――」
ここでハッとする翔太。
「まさか、アレがもしかして編入試験――」
「じゃあ、ないんだけど」
「違うのかよ!!!
それじゃあ何で出したのその話題!!!」
「編入試験はあなたの今までの成績を見た向こうの校長先生が免除してくれたのよ。
成績が優秀だからって」
「何だ~そういう事か~」
翔太は席に座りなおすと安堵の息をつい――。
「だからそういう事じゃないって!!!」
「そんなに忙しなくしても人生まだまだ長いのよ?」
「だから忙しなくさせてるのは誰!?
ねえ、誰か解ってる!?
ねえ!?」
「あ……」と佐和子は翔太を指差した。
「今『ねえ』二回言った……」
「どうでもいいんだよそんな事は!!!」
翔太の怒声を浴びながら静かにお茶をすする佐和子。
「忙しなくしてるのは翔太でしょ?」
「忙しなくさせているのはアンタだろうが!!!」
その後、翔太と佐和子の論争は2時間ほど続いたという――。
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