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神前家、リビング。
「新しい学校はどう?」
「……えっと……」
微笑みながら翔太に尋ねてくる佐和子。
「まだ一日しか行ってないんだけど……」
「それは知ってるわよ?」
「えっと……母さん、頭大丈夫?」
「それはどういう意味かしら翔太?」
「何か何時にも増して大丈夫か?」
「それはどういう意味かしら翔太?」
佐和子はにこやかな笑顔のまま翔太に尋ね返した。
「違うわよ。
だからほら、クラスの雰囲気とかそういうのよ」
「まあ、いいんじゃねえの?
女子ばっかだけどな」
「良かったわ~」
嬉しそうな声を上げる佐和子。
「イヤ、良くないんだって。
男子一人も居ないんだって」
「イヤ、そこじゃなくて。
あなたが新しいクラスに馴染めなかったら
どうしようかと思っていたのよ」
「無理矢理新しい高校に入れたのは
何処のどいつだよ」
翔太はコップを手に取ると口に向かって傾けた。
「頑張りなさいよ、翔太」と佐和子は真剣な面持ちで翔太を見据えた。
「コレはあなたが選んだ道……」
「イヤ、選んだのは母さんだろ?」
「もう……後戻りは出来ないわよ」
「イヤ、だから選んだのは母さんだろ?」
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