01.悪い事は突然に

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「それじゃあ、いただきまーす」 早速カレーを一口頬張る翔太。 その様子を微笑ましげに見つめている佐和子。 「味は? どう?」 「相変わらず美味しいよ」 「それは良かったわ」 「マジマジ」 翔太はカレーを飲み込むとコップを手に取った。 「……ねえ、翔太」 「ん?」 「いきなりなんだけどさ」 「何だ? 告白とかなら普通の事じゃ驚かないぞ?」 そう言って翔太はコップを口に傾けた。 「実は……。 明日からあなたには他の高校に転入してもらう事になったから」 「ブッ!」 佐和子の言葉に翔太は口から一気に水を噴き出した。 「ゲホッ! ゲホッ!」 激しく咳き込む翔太。 その正面で顔に掛かった水をタオルで拭く佐和子。 「あら? 普通の事じゃ驚かないんじゃなかったの?」 「イヤ、明らかに普通の事じゃなかったからね!?」 「ていうか」と口の周りの水を拭う翔太。 「それは……どういう……?」 「そのままの意味だけど……もう一回言い直そうか?」 「イヤ、それは多分しなくて大丈夫だけど……」 苦笑して翔太は言った。
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