ホームレス

5/20
前へ
/359ページ
次へ
佐藤さんに連れられて本殿へ行くと、氏子さん達に御神酒や御札を渡して頭を下げる祢宜さん達がいた。 私も一緒になって、1人、また1人と去ってゆく氏子さんに頭を下げた。 「ようお詣りでございました」 「ありがとう咲良ちゃん、またね」 毎日夕方詣でている常連さんが声をかけてくれて、何だか嬉しかった。 「咲良ちゃん、神饌を社務所に下げてて」 祢宜さんの言葉に頷いて本殿へ入る。 内陣(ナイジン、御神体のある場所)へ登る階段で、宮司さんがニコニコと私を手招きしていた。 「咲良くん、今日は直会に参加していきなさい」 「え?良いんですか?」 「咲良ちゃんにはいつも頑張ってもらってるからね、後でいらっしゃい」 ニコニコ笑顔で宮司さんが去っていく。 「宮司さんありがとうございます!」 嬉しくて飛び跳ねたいのを我慢して、三方(サンボウ、木で出来た高いお盆みたいの)に並べられた鯛や米、果物等を皿から籠に移していく。 、
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加