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目が覚めた。
夕焼けのオレンジ色が窓の外をうめつくしている。
なんだか頭がくらくらする。
気持ちが悪い。
それに、体が動かない。
横たわる自分の体を見ると、手足がガムテープで巻かれていた。
ここは車の中…?
僕は後部座席に横たわっていた。
運転席には誰かが座っている。
知らないその誰かが、ちらりと僕を見ると、また前に向き直った。
「もうお目覚めか。おねがいだから静かにしててね」
学校帰りに僕の口と鼻を覆って気絶させたのはこの人なんだろう。
「何処へ向かってるの?」
自分の口から出た声は、弱々しくかすれていた。
「君は知る必要がないよ」
これから僕はどうなるんだろう。
心臓がバクバクと音を立てている。
「家に帰りたいよ」
「静かにしてろ」
冷たい声が飛んできた。
僕は口をつぐんだ。
『誰か』は陽気に口笛を吹き始めた。
地獄の底から聴こえてくるような気がした。
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