プロローグ

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「撤退だ!全員引け!」  慌てて撤退命令を出す男の言葉を聞き、何人もの武器を持った人間が後方へと逃げていく。  俺は男の言葉を無視して、逃げ惑う人の流れに逆いながら、騒ぎの中心である暴風に向かって進んでいった。 「親を殺され見せ物となって五年、か。それでも、君は──」  近付く度に威嚇するように激しく吹き荒れる風。  その風に乗って聞こえてくる悲痛な叫び声に、心が締め付けられる。
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