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「チャンスを与えに来た?それは、どういうことなんだ?」
くるりと背を向ける女神
「………このまま死んでしまうなんて不本意ですよね。やりたいこととか、したいこと…あったんじゃないですか?」
そういって振り向く『彼女』の顔には、先ほどまでの飄々とした態度は無くなっており、かわりにどこまでも優しく暖かい女神の微笑みが輝きを放っていて、思いがけず、どきりと心臓が飛び跳ねる思いをした
女神は、口をゆっくり確かに動かす。
「アナタに質問です。まだ“死にたくない”ですか?」
「はっ?」
「言い方変えましょうか?あなたはまだ…………『生きていたい』ですか?」
その言葉に頭が煮立つ。なんか、喉も乾く。次の瞬間には
「ああ………俺は生きたいさっ!」
途端、自分でも驚くくらい大声で張り上げたセリフと、「なんでそんなこといったんだ?俺?」とあとから自分のした行動が信じられないという矛盾に頭は混乱する。
そんな俺の複雑な感情を読み取ってか、女神は目を細め妙に楽しげに「ふふふ」と含み笑いをし、続けて「よろしい」といった。
「では、あなたには“不本意な死”にあらがうチャンスを与えてあげようと思いますがどうですか?嬉しいですか?」
「えっ?それは、どういうことなんだ?」
いつの間にか先ほどの警戒もすっかりなくなって俺は素の表情で女神にきいていた
「ふつうはそのまま、この世にバイバイするところを、私の力で生き返らせてあげるということです。本当は、ほかの世界に干渉することも、命を操作することも、私の領分を越えてはいるんですが、これでも一応神様なんで、やって出来ないことはないと思うんですよね~」
そうして女神はあははと笑う
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