第1話――『チャンス』――

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「アナタに与える試練はズバリこれ!」 そう言って、広げた紙の上には、地図のようなものが書かれていた。 はて?どこの地図なんだ? 地図なんて、小学校の授業以来、久しく見たことなかったから、あいにくとその地形がどこのものなのか分からない。 「これは、私の管轄する世界の見取り図ですよ!」 「そうなの?」 しかし、なぜ、いきなり地図なんて見せられたんだろうか? 「細かいことは、後で説明するんで、簡単にやって貰いたいことをいうとですね…」 女神は至って簡潔にいった 「世界を救ってください♪」 一瞬なにをいっているのかわからず、聞き返す 「…………はい?」 「ほんとですか?こんなにあっさり承知してくれるとは…」 いやいやいや! 「いまのは承諾じゃなくて、耳を疑って聞き返しただけだから!」 世界を救うって、そんなバカな!スケールがでけーよ! 「まぁまぁ」 そんなことは気にもとめず、女神は後ろのこれまた、なにもないところから突然紙を取り出した 「ささっ!やる気があるなら、さっそくこちらの契約書類にサインを!」 「なんか、騙されてる感じがバリバリだが…」 それは一見すると悪魔との契約書のようにも見えた。しかも世界を救えとかどこのRPGの勇者だか知らないが笑えない冗談だ 「細かいことは、気にしない方が身のためですよ」 「細かいことじゃねぇだろ!世界を救えとかわけわかんないこと!」 「そんな!さっき『生きたい』って高らかに叫んだ気持ちは嘘だったんですか?あの胸の高鳴りは偽り?」 「………それとこれとはべつというか」 すると乱暴に紙を顔の前に叩きつけられる 「どの道選択肢なんて多くないんですから、ちゃっちゃっと決断してください」 そしていつの間にか真面目な顔に変わっている女神 「このまま死にたいならサインせず、わずかでも生き残る可能性にかけるならサインする。簡単ですよね?」 簡単って。あんたいくらなんでもこれは… 「あー!理不尽とか思ってます?」 心を見透かされたようだ。女神はいう 「運命って理不尽なものをねじ曲げようとしているわけですから、逆にこのくらいのことはしないと釣り合い取れないですよ」 それから、挑発的に笑うとこんな事をいった 「『これくらい』の逆境、訳ないですよね?」
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