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はぁ…。一つ深い深いため息をつく。
しかたない。うん。これは「しかたない」。そう思わないとやってられない
そう冷静に考えようとする頭とは裏腹に心臓はひどく高鳴っていた。
「世界を救う」だって?馬鹿げた話だ
でもこれは女神のいうとおりせっかくのチャンスだ。何にもしないよりは、何かした方が後悔しない。それはよく知っている
だから答えはでていた。例えどんなに理不尽なお題が出たのだとしても俺には初めから「やる」という選択肢しかないのだ
それに大丈夫だよ。きっと世界を救うっていっても難しい事じゃない。だって人間一人に頼む事だよ?できる事は限られてるし、きっと頑張ってできる事に決まっている。
そうして頭をポジティブ思考に切り替えていって
「よし!」
俺はとうとう決めた。こういうのは思い切りの良さが必要だ。先に選択しちゃえば、逃げ道なんてつくれない。そうすれば、後はなんとかなってくるはず。だから今は他の事を考えない
紙とペンを引ったくるようにもらい、そのままで「渡里 契」の名前をでかでかと書き、押し付ける。
「おお…」
「これでいいだろ!さあ、世界でもなんでも救ってやるよ!」
いまさらだがちょっと不安になっていたの俺だが、こういうのは勢いが必要だと思う。なので、あえて大げさにまくし立て、決心を鈍らせないようにしたのだ
だがそれに対する女神の反応は予想するものと違った。にやり口の端だけを吊り上げる。
なっなんだ?
「くくっ…。掛かったな人間め。」
えええええ!!!
「まさか、こんなに易々と引っかかってくれるとは。人間とは騙されやすい。くっくっく。」
先ほどまでとはうって変って邪悪な笑みの女神。いや、奴は悪魔だったのか!
なんてこった!人間じゃないもの信じた俺がばかだった
「ふふふ。この契約書を使ってお前をぼろ雑巾のようにこき使ってやる」
全身に悪寒が走り思わず頭を抱えたくなる。心臓は痛いほど脈うち、全身は微かに震え、それから…
「ジョークです」
一気に血の気がひいた。
「冗談かよ!」
ころっと表情を変える女神
「すいませんね。心が読めるから、ついついイタズラしたくなるんです。」
なんだよ!それ!
「俺の小さな心臓が止まるかと思ったぞ!あんま、負担掛けんな!デリケートなんだ!」
「あら?死んでるのに、心臓なんて止まるんですか?」
……………
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