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吹き抜けになっていた天井の暗がりの中を照らしながら、『それ』はゆっくりと降りてきた。
そうしてこれまた悠然とした態度で、俺の目の前に降りてきた『それ』は次第に全身から発する光の度合いを弱めていく。
俺の目の前には…
薄く発光する白い肌。さらさらの金髪に、整った顔立ちで微笑む、白い翼の生えた女性がいた。
おそらく、天使か女神かそういった類の物であろうと何故だか頭が瞬時に理解してしまった。
「少年よ…」
先ほどまでの霞みがかった声と異なり、今度はどこまでも透明ではっきりと耳に残る声で天使、あるいは女神がいう
「悔い改めなさい」
その瞬間
「ははー!」
自然と地面にこれでもかってくらい額をこすりつけながら、ひれ伏す俺
………ってあれ?おかしくね?なんで、土下座してんだ俺
目の前の神々しい何かに諭されて、思わずその場のノリで頭を下げちゃったけど、よくよく考えたら『悔い改めなさい』なんていわれたって悔い改めるような事してないし…
そういいつつも、なかなか頭をあげられないでいると
くすくす
目の前から笑い声漏れる
気になって、ちらっと顔を持ち上げると、案の定目の前で、天使、あるいは女神が必死に笑いこらえようとしていた。ぼそぼそと「ホントに悔い改めてるぅ」とか言って…
ってこのアマぁ!調子に乗りおって!
憤りを感じ地面を「がんっ!」と踏み鳴らし立ち上がる俺
女神はすっと前に手を出すと
「ごめん♪ごめん♪」
と軽い調子にいって俺の頭を撫でつけ、なだめようとする。ああ。なんか癒やされてきた
「って俺は子供かっ!」
はっとなりその手を払った
それでも天使、あるいは女神のくすくす笑いは収まる様子はない
「あんた、何がおかしんだよ!」
「ご…ごめんね。くすくす。だって、『悔い改めなさい』って言葉一度いってみたいなーって思っててね。だから、言ってみたんだけど………そしたらあなた、もう見事なまでに『ははーっ』って土下座し返してくるんだもの。驚いちゃって…。だってこんなケース一度もなかったもの。そしたらなんか…くすくす…ツボに…くすくす、ごめんなさいね。くすくす、…あなた、土下座の名人?すっごい決まってましたよ?」
それに対して俺の感想は一言だけだ
「余計なお世話だよ!!!あと笑いすぎだろ、オイ!!!」
違った二言だった
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